$03-00-10-05-4-1 [enableFullScreen] [soundStopAll] [charaSet C 1098211810 0 1] [charaSet D 1050000 1 妖精騎士ガウェイン] [charaSet E 1098209300 1 村長] [charaFilter E silhouette 00000080] [sceneSet F 118300 1] [charaScale F 1.65] [sceneSet G 118300 1] [charaScale G 1.65] [scene 123102] [effect bit_talk_light_loop] [wt 0.5] [se ad556] [seVolume ad556 0 0] [seVolume ad556 3.0 0.8] [fadein black 3.0] [wait fade] [wt 2.5] [fadeout black 3.0] [seStop ad556 3.0] [wait fade] [effectDestroy bit_talk_light_loop] [scene 119900] [wt 1.0] [fadein black 2.0] [wait fade] @ それは、わたしが12歳になった頃。 [k] [bgm BGM_EVENT_25 0.1] [charaTalk E] [charaFace E 0] [charaFadein E 0.2 1] @村長 おまえも12歳か。[r]よくここまで育ってくれた。 [k] @村長 ……うむ。[r]ひとつ、使いを頼むとしよう。 [k] @村長 ひとりで行かせるのは心配だが、[r]魔術を使うようになって[#逞:たくま]しくなったからな。 [k] @村長 漂流岬は知っているな?[r]あそこに『土の氏族』がひとりで住んでいる。 [k] @村長 これを届けておくれ。[r]日暮れまでに帰ってきてくれればいい。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.5] [bgm BGM_EVENT_25 1.5 0.5] [wait fade] [charaFadeout E 0.1] [scene 118200] [wt 1.0] [fadein black 1.5] [bgm BGM_EVENT_25 1.5 1.0] [wait fade] [wt 1.2] @アルトリア [line 3]え。[r]待って、もしかして、あの家[line 3] [k] @ 間違いありません。 [k] @ 岬に建つあの一軒家こそ、マーリンが語っていた[r]職人の工房。鉄のテーマパーク。 [k] @ いつかぜったいに行ってやる! リスト堂々の一位、[r]ティンタジェルの村には存在しなかった、 [k] @アルトリア 鍛冶屋だーーーーー! [k] [messageOff] [se ad443] [fadeout black 1.0] [seStop ad443 1.0] [bgmStop BGM_EVENT_25 1.0] [wait fade] [scene 118300] [wt 1.0] [charaDepth F 4] [charaDepth G 5] [charaFadein F 0.1 220,-300] [wt 0.1] [se ade227] [fadein black 0.2] [wait fade] [wt 1.8] [se ade227] [charaFadein G 0.2 -420,-100] [wt 0.2] [charaFadeout F 0.1] [wt 1.4] [charaScale F 1.0] [wt 0.1] [se ade226] [charaFadeout G 0.4] [wt 1.8] [bgm BGM_EVENT_94 0.1] @アルトリア う[messageShake 0.05 2 2 0.3]おーーー![r]うおおーーーーー! [k] @アルトリア う[messageShake 0.05 2 2 0.5]おおおおおおおお![r]すっっっっっごーーーーーーーーい!!!! [k] @ 我ながら、この時の精神状態は[r]ちょっとおかしかったと思います。 [k] @ こんな不審者見たことない。[r]ううん、こんなの強盗にしか思えない。 [k] @ なので、 [k] [messageOff] [charaTalk C] [charaFace C 2] [charaFadein C 0.2 1] [wt 0.4] @土の氏族 な[messageShake 0.05 4 4 0.3]にをしている小娘![r]頭かち割られて海に放り投げられたいか! [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @アルトリア う[messageShake 0.05 4 4 0.5]ひゃあああああ!? [k] @ この通り。[r]初対面の印象は最悪になったのです。 [k] @ 彼の名はエクター。[r]『土の氏族』の鍛冶師。 [k] @ 何百年も前から岬に住んでいて、[r]村のみんなから恐れられている変わり者。 [k] @ [#強面:こわもて]で偏屈だけど、最後まで嘘をつかなかった、[r]尊敬すべき友人だ。 [k] [messageOff] [fadeout black 2.0] [bgmStop BGM_EVENT_94 2.0] [wait fade] [wt 1.0] [se ade24] [seVolume ade24 0 0] [seVolume ade24 2.0 0.5] [fadein black 2.0] [wait fade] [seStop ade24 1.0] [wt 0.5] [bgm BGM_EVENT_92 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター む。それはティンタジェル製の革袋だな。[r]鉄を持っていくのではなく、持ってきた…… [k] @エクター ではコソドロではないな。[r]ふむ。村長から届け物か。 [k] @エクター なんだ? 声が小さい。聞こえん![r]もっと大きな声でハキハキと喋れ! [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @ エクターは耳が遠くて、大きく口を動かさないと[r]こっちの意図が届きません。 [k] @ しかも、あらゆる妖精を毛嫌いしているのです。[r]心の声も、心の色も、嫌悪の感情で真っ黒でした。 [k] @ “ここにいたら殺される。[r][f small] [f -]あのハンマーで本当に頭を割られる” [k] @ 鍛冶場にいる興奮も冷めてしまって、[r]わたしは荷物だけ置いて逃げ帰ることにします。 [k] @ でも、 [k] [charaTalk C] [charaFace C 5] [charaFadein C 0.1 1] @エクター [line 3]待て。[r]顔をよく見せろ。おまえ[line 3] [k] [charaFace C 0] @エクター [line 3]『予言の子』だな? [k] [charaFace C 4] @エクター そうか。[r]エインセルの予言から、もう12年経っていたな。 [k] [charaFace C 0] @エクター さっさと村に戻れ。[r]仕事場に小娘なんぞ居たらロクな事にならん。 [k] @エクター こんな[#辺鄙:へんぴ]な場所に住んでいるのは、[r]誰にも会いたくないからだ。 [k] [charaFace C 2] @エクター いいか、二度と来るなよ![r]『予言の子』になんぞ関わっている暇はない! [k] [messageOff] [se ad171] [charaMoveReturn C 0,-8 0.3] [wt 0.5] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @アルトリア ははは、はい、お邪魔しました~~~! [k] [messageOff] [se ad55] [wipeout leftToRight 1.0 1.0] [seStop ad55 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 0.5] [wait wipe] [scene 118200] [wt 0.5] [wipein rightToLeft 1.0 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 1.0] [wait wipe] @ ほうほうのていで家の外へ。[r]だってハンマー飛んできました。 [k] @ 岬から離れて、ティンタジェルの村までの帰路。 [k] @ わたしの歩みはトボトボと、[r]いつも以上に元気のない足取りでした。 [k] [messageOff] [fadeout black 2.0] [bgmStop BGM_EVENT_92 2.0] [wait fade] [scene 119900] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 1.5] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 118200] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 1.5] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 118300] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 0.5] @ 来ちゃったのでした。[bgm BGM_EVENT_94 0.1] [k] [charaTalk C] [charaFace C 5] [charaFadein C 0.1 1] @エクター 来るなと言ったはずだ。[r]なぜ来る? なぜ話を聞かない? [k] @エクター その手の顔の妖精はみんな猪、あるいは熊なのか? [k] [charaFace C 2] @エクター 気安く触るな![r]加工した鉄だ、妖精にはかぶれ毒…… [k] [charaFace C 5] @エクター ……ならんな。そうか。外見は『風の氏族』似だが、[r]やはり『魔猪の氏族』だったか。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @ そんな氏族ねえのです。 [k] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター 炉も鉄も怖くないのか。[r]なんだ、興味があるのか。 [k] @エクター そうか。 [k] [charaFace C 4] @エクター そうか。 [k] [messageOff] [fadeout black 2.0] [bgmStop BGM_EVENT_94 2.0] [wait fade] [charaFadeout C 0.1] [scene 119900] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 1.5] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 118200] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 1.5] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 118300] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [wt 0.5] [bgm BGM_EVENT_92 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター 頻繁に来るようになったな。[r]まあ、村の者はワシに近寄りたくはないだろうが。 [k] @エクター おまえの服は、いろいろと不細工だな。[r]収納が多いのはいいが、縫いも仕上げも粗末だ。 [k] [charaFace C 5] @エクター ……ふん。[r]おい。村長に伝えろ。 [k] @エクター 『手伝いをひとりよこせば、多少は勉強してやる』[r]とな。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @アルトリア エクター。つまり、それって! [k] [charaTalk C] [charaFace C 2] [charaFadein C 0.1 1] @エクター ワシをエクターと呼ぶな![r]鍛冶師の爺でよい! [k] @エクター いいな、二日に一度は手伝いに来い! [k] [charaFace C 3] @エクター まったく……誰に教わったのかは知らんが、[r]道具の握りからして危なっかしいわ。 [k] [charaFace C 0] @エクター おまえには基礎が足りていない。[r]下手に死なれたら鍛冶職人にまた悪評がつく。 [k] @エクター 鍛冶仕事に興味があるのなら、[r]一から仕込んでやる。 [k] @エクター 当然だが駄賃はやらんぞ。[r]授業料は出世払いにしておいてやる。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 0.5] [wait fade] [charaFadeout C 0.1] [scene 118200] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 1.0] [wait fade] @ 『予言の子』として旅立つための修業が、[r]またひとつ増えました。 [k] @ エクターはおっかない妖精でしたが、[r]実は細やかな細工品や服飾も得意なのです。 [k] @ 手伝いをはじめてから1年。[r]エクターは知る人ぞ知る名工であり、 [k] @ ブリテン南西部にある[#森:むら]だけでなく、[r]ソールズベリーやオックスフォード、 [k] @ はては遙かマンチェスターから、[r]特別な注文が届くこともありました。 [k] @ たとえば。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 0.5] [wait fade] [scene 118300] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 1.0] [wait fade] @金髪の妖精 失礼。エクター殿はおられるか。 [k] @アルトリア [line 6]。 [k] @ エクターの工房に、[r]直接、お客がくるのは初めてでした。 [k] @ わたしはお手伝いなので、ちゃんと接待して、[r]エクターの評判をあげようと声をかけます。 [k] @金髪の妖精 エクター殿。文を送ったガウェインです。[r]いらっしゃいますか。 [k] @ 聞こえなかったのか、意図的なのか。[r]完全に無視されました。 [k] [charaTalk C] [charaFace C 5] [charaFadein C 0.1 1] @エクター アンタがガウェインか。[r]妖精騎士をまた目にする時が来ようとはな。 [k] [charaFace C 0] @エクター ……よく鍛えられている。[r]アンタなら、甲冑に負ける事もないだろう。 [k] @エクター 奥に用意してある。[r]試着をして問題がないんなら、箱に詰める。 [k] @エクター アルトリア、手伝え。[r]高級品だからな、手を滑らせて落とすなよ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @妖精騎士ガウェイン いえ、その必要はありません。[r]試着して具合がよければ、今日から使いますので。 [k] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター そうか。ならこっちに来い。[r]アルトリアは工房の片付けをしていろ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @ 奥から、カチャカチャと鎧を着込む音がします。[r]エクターとの会話も聞こえてきます。 [k] @ なんでも牙の氏族の上級妖精で、[r]妖精騎士に選ばれた凄い妖精で、 [k] @ グロスターの社交界でも有名らしくって、[r]礼節が身についていて、体格もよくて、力もあって、 [k] @ エクターが4年もかけて鍛え続けたっていう、[r]あの白銀の甲冑を買い取るだけのお金持ちなのです。 [k] @アルトリア …………。[r]……………………。 [k] @ なんかムカムカしてきました。 [k] [messageOff] [cueSe SE_21 21_ad1119] [wt 0.3] [seStop 21_ad1119 0.3] [charaTalk D] [charaFace D 13] [charaFadein D 0.4 1] [wt 0.4] @妖精騎士ガウェイン 素晴らしい仕事です。[r]貴方がいてくれた事に感謝します、エクター殿。 [k] [charaFadeout D 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター ふん。やり甲斐のある仕事だった。[r]こっちに来てから、唯一、と言っていいな。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk D] [charaFace D 0] [charaFadein D 0.1 1] @妖精騎士ガウェイン そうなのですか? [k] @妖精騎士ガウェイン 貴方ほどの職人であれば、[r]どの街でもその腕を振るえましょう。 [k] @妖精騎士ガウェイン ……無礼を承知で提案しますが……[r][#私:わたくし]の街には、まだ大きな工房がありません。 [k] @妖精騎士ガウェイン エクター殿さえよろしければ…… [k] [charaFadeout D 0.1] [wt 0.1] @アルトリア あ[messageShake 0.05 2 2 0.3]あ!?[r]なに言ってるのコイツ!? [k] [charaTalk D] [charaFace D 10] [charaFadein D 0.1 1] @妖精騎士ガウェイン ……いま、妙な音がしましたね。[r]オオガエルかしら……それとも夜ガラス? [k] [charaFadeout D 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 2] [charaFadein C 0.1 1] @エクター バカモン、引っ込んでいろ![r]妖精騎士にケンカを売るヤツがあるか! [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @アルトリア でででも、エク、おじいさんを勧誘するとか、[r]ちょっと何様って感じだし! [k] @ わたしはこのあたりから口が悪いのです。[r]きっとマーリンのせいです。 [k] @ でも頭にきたのは本当なので、[r]妖精騎士に詰め寄って、早く出て行けと[#睨:にら]みつけます。 [k] [charaTalk D] [charaFace D 0] [charaFadein D 0.1 1] @妖精騎士ガウェイン エクター殿のお弟子……でしたか。 [k] @妖精騎士ガウェイン ……気持ちは分からないでもありません。[r]良き師と別れるのは悲しいこと。 [k] @妖精騎士ガウェイン その気持ちに免じて、[r]今の暴言は聞かなかった事にしましょう。 [k] @妖精騎士ガウェイン ですが……[r]なんにせよ、もう少し育ってから口をききなさい。 [k] @妖精騎士ガウェイン [#私:わたくし]は背が高いので、[r]小さなものを相手にするのは首が疲れます。 [k] @妖精騎士ガウェイン まあ。[r]その体では、想像も付かない事でしょうけど。 [k] [charaFadeout D 0.1] [wt 0.1] @アルトリア [line 6]。 [k] @ そうして妖精騎士は去って行きました。 [k] @ わたしのことなんて、話した後に忘れた、[r]とでも言うかのように。 [k] @ エクターが差し出した伝票に書かれたサインは、[r]ガウェインではなく[#■:バ][#■:ー][#■:ゲ][#■:ス][#■:ト]。 [k] @ ヘンな呪いで読めなくなっているようだけど、[r]わたしに嘘は通じません。 [k] @ ふんだ。[r]この名前、ぜっったい忘れないからな! [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 0.5] [wait fade] [scene 118200] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 1.0] [wait fade] [wt 1.5] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 0.5] [wait fade] [scene 118300] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [bgm BGM_EVENT_92 1.0 1.0] [wait fade] [wt 0.5] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター 要領は悪くない。[r]4年たらずで教える事がなくなった。 [k] @エクター 見習いではあるが、鍛冶師としては一人前だ。[r]魔力の少なさだけはどうしようもないがな。 [k] @エクター 村の妖精たちはどんな具合だ。[r]まだおまえを『予言の子』だと信じているのか。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @アルトリア そこは相変わらず。[r]村の半分は『予言の子』なんて信じていないけど、 [k] @アルトリア 『予言の子』を送り出す事そのものが[r]みんなの希望になってるから。良くも悪くも。 [k] @アルトリア そういうおじいさんは?[r]わたし、本当に『予言の子』だと思う? [k] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター くだらん。[r]ティンタジェルの事情など、ワシはどうでもいい。 [k] [charaFace C 5] @エクター それより海岸で砂を集めてこい。[r]明日からは宝飾具を多く作るぞ。 [k] @エクター 近々、ケットシーの[#森:むら]で祭りがあってな。[r]安物でいいからと、大量に頼まれた。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @ エクターは器用なので、[r]武具や生活用品だけでなく宝飾具も作るのです。 [k] @ 工房の机にはいつも様々な宝飾具が並んでいます。 [k] @ エクターは子どもだましの安物だというけれど、[r]一張羅のわたしには、安いも高いもないのです。 [k] @ 赤、青、緑。時には黄色。[r]夜空に輝く星のように。 [k] @ わたしは知らず知らず、手を休めては机の上の[r][#宝飾具:かみかざり]を眺めていたようです。 [k] @ 2年目の秋、そんなわたしを見かねた[r]エクターは言いました。 [k] [bgmStop BGM_EVENT_92 2.0] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @エクター ほしいのなら、手本として持っていけ。[r]ひとつくらいなら、まあ、誤差の範囲だ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] @ 誤差、とは、作る上で出てくる[r]割れ物、壊れ物のことです。 [k] @ エクターは失敗品なんて出しませんが、[r]そんな言葉でわたしの背中を押してくれました。 [k] @ とはいえ、 [k] @アルトリア いらないよ。自分の物なんて持ってたら、[r]また取り上げられちゃうから。 [k] @ 思わず視界がぼやけてしまうくらい、[r]嬉しくて、欲しかったけど。 [k] @ 『選定の杖』のように、たいせつなものは、[r]手に入れてはいけないのです。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.5] [wait fade] [scene 122401] [wt 1.5] [fadein black 1.5] [wait fade] [bgm BGM_EVENT_25 0.1] @ でも、久しぶりに幼い頃の会話を思い出しました。 [k] @ 日夜加速していくわたしの無茶ぶりに、[r]なんとか応えようとしていたマーリンとの会話です。 [k] @マーリン 消えるべきものがまだ残っている[#据:す]わりの悪さ![r]君を[#擁:よう]する妖精たちの[#狭:せま]い了見! [k] @マーリン ああ、イヤだイヤだ![r]今のブリテンはみんな気持ち悪い! [k] @マーリン [line 3]なんてね。[r]そう思ったなら口にするべきだよ、アルトリア。 [k] @マーリン 欲しいものは欲しい、でいいんだ。[r]我慢する事はない。 [k] @マーリン さあ、いま君にとって何がいちばんなのか、[r]恥ずかしがらず言ってごらん? [k] @アルトリア 相手を木っ端微塵に吹っ飛ばす魔術がほしいです。[r]これこれこういうの。 [k] @マーリン ふむふむ。魔力をため込める道具と、[r]火薬を合わせて爆発させる魔術? [k] @マーリン ……もう立派なテロ行為だな…… [k] @マーリン いや、でもいつブラックドッグに[r]襲われるか分からないんだ。 [k] @マーリン いいとも、ちょっとレシピを作ってみるよ。[r]だからあと3日、いや6日、待ってくれるかな? [k] @マーリン [f small]……えーと……たしかノリッジに、[r][f small]そういうのに詳しい鍛冶師がいたっけ…… [k] @アルトリア マーリンは優しくて、面倒見がいいんですね。[r]もしかしてモテモテですか? [k] @マーリン いや、どうかな。私はあんまり、[r]君たちの言う愛というものが分からない。 [k] @マーリン 食事のようなものだからね。[r]相手の事より、どんな味がするのかしか考えない。 [k] @マーリン そんな私だから、ヒトや妖精から[r]愛されるキャラでもなかった。 [k] @マーリン でも突然、そういう役回りになってしまって、[r]やってみたら誰よりもうまく出来てしまった。 [k] @マーリン 正直、そんな自分に一番自分が戸惑っている。 [k] @アルトリア 恋人はいないのですか?[r]ひとりも? 花の魔術師なのに? [k] @アルトリア さみしくないのですか? [k] @マーリン うーん、そうなのかも。[r]君に言われて気がつく程度の感傷だけどね。 [k] @マーリン 手に入らないものである事は、[r]はじめから知っていた。だから気にしない。 [k] @マーリン でもまあ[line 3]そうだね。 [k] [bgm BGM_EVENT_25 1.0 0.4] @マーリン 魔術の勉強も、ブリテンを救う道を探すのも、[r]恋人を探すのも、僕にとっては同じ事だ。 [k] @アルトリア えっと……どういうコト? [k] @マーリン だからさ。ありもしない星を探すのは、[r]寂しいけど、ちょっとだけ楽しいね。 [k] [messageOff] [wt 1.0] [bgmStop BGM_EVENT_25 1.5] [fadeout black 1.5] [wait fade] [scene 119900] [wt 1.5] [se ad531] [seVolume ad531 0 0.1] [fadein black 1.0] [seVolume ad531 1.0 1.0] [wait fade] [wt 2.0] [seStop ad531 2.0] @ そうして、16歳を迎えた朝。[r]広場に集まった村のみんなはこう言いました。 [k] [bgm BGM_MAP_10 0.1] @妖精たち 証を見せて。[r]証を見せて。 [k] @妖精たち 『予言の子』である証を見せて。[r]あの崖に住む鍛冶師は親衛隊なの。 [k] @妖精たち あの鍛冶師は、おまえだけは警戒しない。[r]あの鍛冶師は、おまえにだけ心を開いている。 [k] @妖精たち ブリテンを救える妖精なら、[r]あの鍛冶師を殺してみせて。 [k] @妖精たち お願い。お願い。[r]不安なの、不安なの、毎日が不安なの。 [k] @妖精たち だから[line 3]アイツをきちんと始末して、[r]私たちを守ってみせて……! [k] [messageOff] [fadeout black 2.0] [bgmStop BGM_MAP_10 2.0] [wait fade] [scene 10000] [wt 0.1] [fadein black 1.0] [wait fade] @ 秋の記憶は、ここまでです。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [wt 0.5] [soundStopAll] [end]