$03-00-06-08-1-0 [soundStopAll] [charaSet A 1098192010 1 ズタ布を頭からかぶった子供] [charaSet B 1098127920 1 カドック] [charaSet C 1098123710 1 キリシュタリア] [charaSet J 5009000 1 エフェクト用ダミー] [charaSet K 5009000 1 エフェクト用ダミー] [charaPut K 1200,1200] [charaEffect K bit_sepia01] [scene 10000] [pictureFrame cut063_cinema] [fadein black 1.0] [wait fade] @ 人生の転換期はいつだったのかと問われれば、[r]私は間違いなく、15才の春をあげるだろう。 [k] @ 誰に語れる事ではない、生涯、秘すべき話ではあるが。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 92800] [charaPut K 1] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] [bgm BGM_EVENT_11 0.1] @ その頃、私は魔術協会の本拠地であるロンドンの時計塔、[r]天体科に在籍していた。 [k] @ 13代まで血を重ねたヴォーダイム家の嫡男。[r][#星辰:せいしん]の加護を与えられた子供。 [k] @ 『ヴォーダイムの歴史上、[r] 最大の魔術回路を保有する魔術師』 [k] @ 『いまだ家督を預かる11代目当主に、[r] 数年後の後継を約束された天才』 [k] @ それが私に対する、周囲からの評価だった。 [k] [messageOff] [se ad311] [wt 2.0] [seStop ad311 1.0] @キリシュタリア [line 3]天才、か。[r]毎日[#足繁:あししげ]く[#他部門:よ そ]の資料を[#漁:あさ]る、この私が? [k] @ そうこぼした声には、[#謙遜:けんそん]より[#自惚:うぬぼ]れの色が強かった。 [k] @ 才能には自覚があった。[r]いずれそれなりの人物になるだろう、という自信もあった。 [k] @ 家柄に恵まれ、才能に恵まれ、愛情にも恵まれた。[r]環境に甘える事なく、自らを高める事も苦痛ではなかった。 [k] @ この時の私は自身の優秀さを誇りにし、[r]その優秀さの為に、より高みに立とうと[#邁進:まいしん]していた。 [k] @ 才能に恵まれた人間が[#研鑽:けんさん]を怠らず、[r]今より上のステージを目指している。 [k] @ 自分にできない事はなく、手に入らないものはない。[r]そう信じて疑っていなかった。 [k] [messageOff] [wt 0.5] @橋の途中でうずくまった子供 ………………。 [k] @キリシュタリア [line 6]。 [k] [messageOff] [wt 0.5] @ ここ半年で通うのが日課になった、[r]降霊科のカレッジに続く大橋を渡る。 [k] @ 途中、対岸の歩道に物乞いらしきものがいた事に[r]気がついていながら、私は何も考えなかった。 [k] @ この時の私には、彼らの姿は視野に入っていなかった。[r]忌避も嫌悪もしていなかった。 [k] @ ただ『いないもの』として扱った。 [k] @ 私は新しい時代の為に生まれた才人だ。[r]彼らのようなものに関わっている余裕はない。 [k] @ 人より恵まれた環境にあり、[r]人より優れた才能があるのだ。 [k] @ だからこそ、私には使命があった。 [k] @ [line 3]美しいものを作る。[r][line 3]素晴らしいものを作る。 [k] @ そんな思いが、情熱が、私を勤勉な学生にし、[r]日夜、[#研鑽:けんさん]に駆り立てていた。 [k] @ こんな、敵地ともいえる他学科のカレッジにまで[r]足を運ばせるほどに。 [k] [messageOff] [bgmStop BGM_EVENT_11 1.0] [fadeout black 1.0] [wait fade] [wt 1.0] @ 私は自らの[#尊大:そんだい]さに無自覚であり、[r]自らの[#幼稚:ようち]さにも、また無自覚だったのだ。 [k] [messageOff] [scene 92801] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] @ その日は特に遅い帰りとなった。[r]夜も更け、橋には人通りがなく、星も雲に隠れていた。 [k] @帽子の男 キリシュタリア・ヴォーダイム。 [k] [messageOff] [effect bit_shot_01] [se ade64] [wt 0.1] [se ade64] [wt 1.5] [effectDestroy bit_shot_01] @ 突然の出来事に反応ができなかった。[r]それが致命的な隙になった。 [k] @ 自分のような若造の命を狙う刺客[line 3]に[r]驚いたのではない。 [k] @ 15才の私の命を[#奪:と]りに来た者が、身内の、[r]よく見知った[#下男:げなん]だったからだ。 [k] [messageOff] [se ad863] [effect bit_talk_35] [wt 0.4] [se bac6] [se bac5] [se bac4] [effect bit_talk_aerial_wave] [se ad974] [seVolume ad974 0 0.7] [wt 2.0] [seStop ad974 0.8] [bgm BGM_EVENT_81 0.1] @ 反撃は自動的に行われた。[r]私が判断するより早く、体の魔術刻印が動いたからだ。 [k] @ 追撃はない。[r]私を襲撃した男は真空の刃に切り刻まれ、絶命した。 [k] @ だが、そこまでだった。[r]私が受けた傷は致命傷であり、状況は絶望的だった。 [k] @ 刺客がひとりの筈がない。数人で動いている。[r]なにしろ、これは。 [k] @コートの男 『実行を確認した。人を回せ。[r] キリシュタリアの死体を回収する。』 [k] @ 父が、息子を殺そうと計画したものなのだから。 [k] @キリシュタリア ……、っ……[line 3]! [k] [messageOff] [se ad60] [wt 0.3] [seStop ad60 0.1] [se ad775] [wt 1.0] [se ad417] [wt 1.0] @コートの男 『河に落ちたぞ! 捜せ!』 [k] [messageOff] [se ade426] [wt 0.1] [se ad59] [wt 1.0] [seStop ad59 1.0] [seStop ade426 1.0] [wt 1.0] @ 無論、落ちてはいない。[r]河に落ちたのは重量変化をかけた私の指輪だ。 [k] @ そんな事では時間稼ぎにしかならないが、[r]自分にできる最善手だけは打っておく。 [k] @ 刺客たちの眼を河に向けさせ、靴に仕込んだ[r]『足音消し』を発動し、できるだけ遠くまで移動する。 [k] @キリシュタリア [line 3]その後。[r]その、後は[line 3] [k] [messageOff] [bgmStop BGM_EVENT_81 1.5] [fadeout black 1.5] [wait fade] [charaPut K 1200,1200] [scene 10000] [wt 1.0] [fadein black 1.5] [wait fade] @ 15才のキリシュタリアの意識が沈む。 [k] @ 街の出口ではなく、橋を戻り、[r]街の細い路地に向かったところで力尽きた。 [k] @ まだ、この時の私は知らない。[r]刺客が用いた凶器はただの魔術ではなく。 [k] @ 『魔術師殺し』と名高い魔術師が用いるものと同じ、[r]魔術回路そのものを傷つける毒である事を。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [charaPut K 1] [scene 10000] [wt 0.1] [fadein black 0.1] [wait fade] [se ad142] [seVolume ad142 0 0.6] [wipeout openEye 0.1 1.0] [wait wipe] [scene 92900] [wt 1.0] [wipein openEye 1.5 1.0] [wt 0.5] [se ad142] [seVolume ad142 0 0.8] [wait wipe] [wt 1.0] @キリシュタリア …………ぅ、っ[line 3] [k] [se ad142] @ 水の音が聞こえる。[r]薄暗い空間。湿った空気。カビの[#臭:にお]い。 [k] @ 私は木箱で作られた寝台に横たわっている。[r]背中には申し訳程度の麻布が敷かれている。 [k] @ 枕はない。体にかける毛布もない。[r]手足を拘束するものもない。 [k] @ 自由な状態だが、あいにく指一本も動かせない。[r]胸の傷は塞がらず、立ち上がる体力もない。 [k] [se ad142] @ 私はただ、死体のように置かれている状態だった。 [k] @キリシュタリア ここ……は…… [k] @ 刺客たちに捕まり、幽閉された、と考えた。 [k] @ しかし、私を生かしておく理由はない。[r]身内による暗殺なのだから、尋問の必要もない。 [k] @ 理解が追いつかない。[r]思考がまとまらない。 [k] @ 私は[#朦朧:もうろう]とした意識のまま、[r]なんとか首の向きをかえて薄暗い部屋を観察し[line 3] [k] [messageOff] [charaTalk A] [charaFace A 0] [charaFadein A 0.7 -300,-50] [wt 1.0] @気味の悪い何か ひひ……ひひひ……[r]…………ひひ……ひひ…… [k] @キリシュタリア [line 6]。 [k] @ 部屋の隅、わずかな明かりから隠れるように。 [k] @ なにか、得体の知れないものが、[r]自分をじっと見つめている事に気がついた。 [k] [messageOff] [se ad142] [fadeout black 1.5] [wait fade] [pictureFrame] [charaFadeout A 0.1] [charaPut K 1200,1200] [charaEffectStop K bit_sepia01] [scene 92000] [wt 2.5] [fadein black 1.5] [wait fade] [charaTalk B] [charaFace B 4] [charaFadein B 0.1 1] @カドック (……マジかよ) [k] [charaFace B 0] @カドック (まる二日も留守にしていたら怪しまれる、[r] いったん顔を出しておこうと戻ってきてみれば) [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [bgm BGM_EVENT_116 0.1] @キリシュタリア ………………zzzzz。 [k] [charaTalk B] [charaFace B 7] [charaFadein B 0.1 1] @カドック コイツ寝てるぞ。護衛もなしで、ベンチで。[r]完全にひなたぼっこだ。 [k] [charaFace B 4] @カドック …………おい。[r]おい、ヴォーダイム。いいのか、それで。 [k] @カドック アンタ、クリプターのリーダーだろ。 [k] @カドック あのオリュンポスの神々を相手に、[r]ひとりで権力闘争をしてる人類代表だろ。 [k] [charaFace B 2] @カドック それがなんだこの無防備さ![r]おい、起きろ! 自覚あるのか、アンタ! [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] @キリシュタリア …………その声はカドック…………[r]いや、カドックだって……? [k] [charaTalk C] [charaFace C 11] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア 君がなぜここに? ここは私の自室[line 3] [k] [charaFace C 3] @キリシュタリア ……訂正する、自室ではなかった。[r]大神殿オリュンピアの空中庭園だった。 [k] [charaFace C 1] @キリシュタリア いや、あまりに陽気がいいのでつい、ね。[r]昔の夢を見ていたよ。 [k] @キリシュタリア ダメだな、私は。[r]カイニスがいないと気が緩んでしまう。 [k] [charaFace C 10] @キリシュタリア とにかく、起こしてくれてありがとう。[r]おかげで時間を無駄にせずに済んだ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 0] [charaFace C 10] [charaFadein B 0.1 2] [charaFadein C 0.1 0] @カドック ……礼を言われる程のコトじゃない。[r]意外だったから、思わず声をかけただけだ。 [k] [charaFace C 11] @キリシュタリア [FFFFFF]?[-] 意外だったとは、何が? [k] [charaFace B 4] @カドック いや。だってアンタ、道ばたで[r]居眠りするようなヤツじゃないだろ。 [k] @カドック 完璧主義の擬人化みたいな男が、[r]気の抜けた学生みたいなマネするんじゃない。 [k] [charaFace C 8] @キリシュタリア ……なるほど。君のその、私に抱くイメージには[r]少々納得できないところがあるが…… [k] [charaFace C 0] @キリシュタリア おおむね、君が何に驚いたかは理解できた。[r]これからは気をつけよう。 [k] [bgmStop BGM_EVENT_116 1.0] [charaFadeout B 0.1] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア それで?[r]私に何か報告でもあるのかな、カドック? [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 4] [charaFadein B 0.1 1] @カドック (……しまった。つい声をかけちまったが、[r] コイツに話すコトなんてないぞ……) [k] [charaFace B 10] @カドック (下手な嘘をつけばこっちの行動がバレる……。[r] ……っと、そうだ) [k] [bgm BGM_EVENT_70 0.1] [charaFace B 1] @カドック [#デメテルがアイツらにやられた]。 [k] @カドック 偉大なるオリュンポスの神ともあろうものがな。[r]まったく、[#完全無欠:かんぜんむけつ]が聞いてあきれるぜ。 [k] @カドック それと、噂じゃ褐色の肌をしたランサーが[r]アイツらに手を貸していたらしい。 [k] @カドック 幸い、エウロペは見落としたようだけどな。 [k] [charaFace B 6] @カドック どうだ、ヴォーダイム? [k] @カドック 始末した筈の負け犬が生きていたばかりか、[r]敵に寝返っちまった心境は? [k] [messageOff] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 11] [charaFadein C 0.1 1] [wt 1.0] [charaFace C 1] @キリシュタリア それは予想外だ。[r]あのカイニスがカルデアに[#与:くみ]するとは。 [k] @キリシュタリア しかも女神デメテルの真体まで破壊するとはね。[r]彼らにそれほどの用意があったとは。 [k] @キリシュタリア 強大な権力者を、わずかな[#叛逆:はんぎゃく]者の手で打倒する。[r]まさにロックだ。 [k] @キリシュタリア いや、機神の真体は金属なんだから、[r]ヘヴィメタルに言い直そう。まさにヘヴィメタだ。 [k] [messageOff] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 7] [charaFadein B 0.1 1] [wt 1.0] [charaFace B 4] @カドック [line 6]えっと。[r]いま、おかしなコトを言わなかったか、アンタ? [k] [messageOff] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 8] [charaFadein C 0.1 1] [wt 1.0] [charaFace C 10] @キリシュタリア ……失言だった。[r]少し、夢見が深かったらしい。 [k] [charaFace C 1] @キリシュタリア しかし、神妃エウロペですら[r]まだ把握していないコトをよく知っているね。 [k] @キリシュタリア まるで現地にいたようじゃないか、カドック。[r][#よほどいい使い魔を持っている]のかな? [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 10] [charaFadein B 0.1 1] @カドック ……まあな。[r]僕だって、いつまでも無駄飯を食っていられない。 [k] @カドック クリプターとして、[r]もう一度戦えるだけの準備は整えているさ。 [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 1] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア そうか。では、その使い魔を大切にする事だ。[r]切り札のあるなしは生存率に直結する。 [k] @キリシュタリア 私にも、他のクリプターにも、[r]オリュンポスの誰にも、明かす必要はない。 [k] @キリシュタリア ただ、もし君が[#使ってはいけないものを][r][#使っていた]と判明した場合…… [k] [bgmStop BGM_EVENT_70 1.0] @キリシュタリア 残念だが、相応の処置をしなくてはならない。[r]私にも立場があるからね。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 7] [charaFadein B 0.1 1] @カドック [line 6]。[r](コイツ、どこまで[line 3]まずい、話を変えよう) [k] [messageOff] [charaFace B 12] [wt 1.0] [charaFace B 0] [bgm BGM_EVENT_79 0.1] @カドック なあ。ところで、デメテルなんだが。 [k] @カドック カルデアがデメテルを撃破したのは、[r][#まだ]実力によるものじゃなかった。 [k] [charaFace B 10] @カドック デメテルは何かを探していた……いや、[r]取り戻そうとしていたように見える。 [k] @カドック 謝ってたんだよ、ずっと。 [k] @カドック オリュンポスの市民にではなく、[r]たったひとりの『誰か』に。 [k] @カドック その余分がデメテルを撃ち落とさせた。[r]なんだか分かるか? [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 9] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア [line 3]ああ。[r]やはり、それが足枷になったのか。 [k] [charaFace C 0] @キリシュタリア ……汎人類史と同じように、[r]この異聞帯の女神デメテルには、愛娘がいた。 [k] @キリシュタリア 麗しきペルセポネ。[r]冥府神ハデスに娘が強引に[#娶:めと]られた折には、 [k] @キリシュタリア 大いに嘆き悲しんだという。[r]それでも、彼女は娘を愛し続けた。 [k] @キリシュタリア だが、数千年前。[r]第四のマキアにあって、彼女の愛娘は命を落とした。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 0] [charaFadein B 0.1 1] @カドック ……それは妙だ。ヴォーダイム。 [k] @カドック 半神か神か知らないが、この都市では[r]誰であろうと死にはしないんじゃなかったのか。 [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア 人は、人の手では死なない、というだけさ。 [k] @キリシュタリア この異聞帯における不死は、擬似的な不死だ。[r]決して真の不死ではない。 [k] @キリシュタリア 神の手によってのみ[r]オリュンポスの不死は消え去る。 [k] @キリシュタリア つまり。ペルセポネを“殺した”のは、 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 0] [charaFadein B 0.1 1] @カドック 神に殺された……[r]共生派の神々に? [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア いいや。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 10] [charaFadein B 0.1 1] @カドック それじゃあ[line 3] [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 0] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア 全能神ゼウスの命により、[r]デメテルは共生派についた愛娘を自ら手に掛けた。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 10] [charaFadein B 0.1 1] @カドック ! [k] @カドック ……自分で殺した娘に……生きているように、[r]ずっと呼びかけていたっていうのか。 [k] [charaFace B 0] @カドック …………まるで人間じゃないか。 [k] @カドック やつらは機神なんだろ。[r]そんな、明らかに矛盾した頭でいいのか。 [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 10] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア いや。機械だからこそ矛盾はしていない。[r]彼らは『人間』とは違う思考回路をしているのだから。 [k] @キリシュタリア オリュンポス十二機神の悲劇はそこだ。[r]神が人を作る。人が神を作る。 [k] @キリシュタリア どちらのケースであれ両者の知性……[r]共有する世界観は同一であり、継承される。 [k] @キリシュタリア だが彼らは違う。彼らはただ、[r]そこにあったものが神と定義されたもの。 [k] @キリシュタリア 天候を操作する機能があったから。[r]食物を提供できる機能があったから。 [k] @キリシュタリア 生物の記憶媒体を破壊する機能があったから。[r]兵器を量産する機能があったから。 [k] @キリシュタリア ただ、そういう機能があるものを[r]この異聞帯の住人は『神』と定義し、 [k] @キリシュタリア 彼らは、この惑星で活動する為に、[r]その『定義』を自分の機能に組み込んだ。 [k] @キリシュタリア 古代の人々が求めていたものは『崇拝できる上位存在』で[r]あって、『心のない宇宙船』ではなかったからね。 [k] @キリシュタリア 結果、彼らはその『役職』を引き受け、[r]機械から機神となった。 [k] @キリシュタリア 知性体が持つ『心』を理解できないまま、[r]その真似事を新しい『活動指針』にしたのさ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 10] [charaFadein B 0.1 1] @カドック ……心がないもの…… [k] @カドック いや、『心が必要ないもの』に心を取り付けた結果、[r]デメテルのような矛盾が生まれた……そういう事か? [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 9] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア 矛盾じゃないさ。[#あれは衝突]だよ。 [k] @キリシュタリア 人間なら『仕方ない』という曖昧さで誤魔化し、[r]自分の中で正当化できる問題を、 [k] @キリシュタリア 彼女はずっと同じタスクとして扱うしかなかった。 [k] @キリシュタリア 狂ってはいない。[r]ただ苦しんでいただけだ。 [k] @キリシュタリア この異聞帯における『神』とはそういうものだ。 [k] @キリシュタリア そして、そういう彼らだからこそ、[r][#不老不死:ふ ろ う ふ し]を実現した理想郷を作り上げられた。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 0] [charaFadein B 0.1 1] @カドック ……機械ってのは、[r]もっと合理的なものと思ったがな。 [k] @カドック だが、それがここの神だって言うんなら、[r]アンタはどうなんだヴォーダイム。 [k] @カドック アンタの目的は神代の復活だろ。[r]本当にそんなモノになりたいのか。 [k] [charaFadeout B 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 1] [charaFadein C 0.1 1] @キリシュタリア もちろん。世界は神によって運営されるべきだ。[r]ただし[line 3] [k] @キリシュタリア 私が目指す[#未来:こたえ]は、[r]大神ゼウスのものとは異なる。 [k] @キリシュタリア あらゆるものが矛盾も衝突も起こさない、[r]『より完成された時代』。 [k] @キリシュタリア その成立が私の責務であり[line 3][r]『異星の神』の望みなんだよ、カドック。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaTalk B] [charaFace B 10] [charaFadein B 0.1 1] @カドック …………。 [k] [messageOff] [wt 1.0] [fadeout black 2.0] [bgmStop BGM_EVENT_79 2.0] [wait fade] [soundStopAll] [end]