$03-00-10-07-6-1 [soundStopAll] [enableFullScreen] [charaSet A 1098209930 1 ベリル_ブラックウルフ] [charaSet B 1098209930 1 ベリル_ブラックウルフ(シルエット)] [charaFilter B silhouette 00000080] [charaSet C 1098212000 1 ベリル] [charaSet D 1098212000 1 ベリル(シルエット)] [charaFilter D silhouette 00000080] [charaSet E 1098231510 1 マシュ] [imageSet Q back10000 1] [charaScale Q 1.01] [imageSet R back10000 1] [charaScale R 1.01] [scene 10900] [fadein black 3.0] [wait fade] [bgm BGM_EVENT_11 0.1] @ ベリル・ガットは魔術師ではあったが、[r]本業は殺しであり、生き甲斐も殺しだった。 [k] @ 身につけた黒魔術は母から教わったものであり、[r]その母は、魔術世界における“廃棄物”[line 3] [k] @ 『魔女』と呼ばれる生き物だった。 [k] @ 魔術協会において、『魔女』というカテゴリーは[r]“女の魔術師”という意味ではない。 [k] @ 『魔女』とは人間と違う生き物。 [k] @ 魔術協会における一部門……[r]呪い・薬物を扱う『[#植物科:ユ ミ ナ]』の創立者にして、 [k] @ 第一魔法の成立に関わった、[r]超自然的な存在である。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_11 1.0 0.4] [wait fade] [scene 10910] [wt 1.0] [bgm BGM_EVENT_11 1.0 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] @ だが、『魔女』はもう魔術協会に在籍していない。 [k] @ 文明の発展と共に、彼女たちはひとり、またひとりと、[r]その姿と在り方を変えていった。 [k] @ ベリル・ガットの母も、そのうちのひとりだった。 [k] @ 『魔女』たちの転身のカタチは様々だ。 [k] @ 大地に還ったもの、過去に還ったもの、[r]第一に加わったもの。 [k] @ これらの転身は魔術師たちにとって奇跡の業であり、[r]畏敬を以て語られる。 [k] @ 一方。『魔女』としての在り方を放棄し、[r]文明社会に埋没し、“人間”に落ちた『魔女』もいる。 [k] @ 落ちた『魔女』には畏敬も、[#憐:あわ]れみも与えられない。 [k] @ たとえどれほどの魔術・神秘を有していようと、[r]彼女たちを人と認める魔術師はいない。 [k] @ 『醜い廃棄物』。それが現代までヒトとして[r]生き延びてしまった、魔女たちの末路だった。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [bgm BGM_EVENT_11 1.0 0.4] [wait fade] [scene 107801] [wt 1.0] [bgm BGM_EVENT_11 1.0 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] @少年時代のベリル なあ婆さん。[r]なんで『魔女』は人間と恋に落ちると死ぬんだ? [k] @ “母”を名乗る魔女に、[r]ベリルはそう質問した事がある。 [k] @ ローブを羽織った、巨大なヒキガエルと見間違う[r]容貌の“母”は、 [k] @垢溜まりの魔女 きひひひひひ。簡単さ。きひひひひひひひ! [k] @垢溜まりの魔女 血が混じるからだよ。[r]魂が腐るからだよ。 [k] @垢溜まりの魔女 きひひ、きひひひひひひ![r]私たちは妖精だからね、コドモなんて産まないんだ! [k] @垢溜まりの魔女 私の娘は私なのさ![r]きひひ、きひひひひひ! きひひ……ひ……ひひ…… [k] @垢溜まりの魔女 でも私はヘタクソで失敗した![r]失敗した、失敗した! [k] @垢溜まりの魔女 ああ、あああ、あああああああ![r]なんでこんな[#姿:コト]になったんだろうねぇ! [k] @垢溜まりの魔女 戻しておくれ、戻しておくれ![r]もとの私に戻しておくれ! [k] @垢溜まりの魔女 マインスターが恨めしい、あの小娘が恨めしい![r][#魔法使い:ユ  ミ  ナ]の直系は何をしたっていいのかい!? [k] @垢溜まりの魔女 私は失敗したのに! 私は[#騙:だま]されたのに![r]ああ、あんな男に出会わなければ! [k] @垢溜まりの魔女 人間と関わらなければ![r]おまえみたいなコドモを産まなくて済んだのに! [k] @ そこまで口にすると、[r]“母”はあわててベリルに謝った。 [k] @垢溜まりの魔女 ……失言だった……悪かったよ。[r]ごめんよ私のベリル。私の大切な愛しい子。 [k] @少年時代のベリル いいんだ、分かってるよ婆さん。[r]本心じゃないのは分かってる。 [k] @少年時代のベリル そんなに泣いてちゃ、星の瞳が台無しだぜ?[r]そこだけは、他の誰よりも綺麗なんだから。 [k] @垢溜まりの魔女 ベリル……! ありがとう、ありがとうよ……! [k] @垢溜まりの魔女 おまえだけが私の味方だよ……[r]おまえだけが私の生き甲斐だよ…… [k] @ ベリル・ガットは人間社会から隠れ住む“母”から、[r]様々な呪術を教わった。 [k] @ 陰湿な儀式。[r]生き物と生き物を掛け合わせる魔女の壺。 [k] @ 基本的に『命を材料にする』それらの術式が、[r]ベリルの人格にどのような影響を与えたかは定かではない。 [k] @ 獲物の追跡。自身の姿の隠匿。死に至る毒。[r]業の腫瘍化。苦痛の増加。不運の前借り。 [k] @ ベリルは暗殺、拷問に適した魔術を好み、[r]“母”は喜んでベリルを鍛えた。 [k] @ベリル これで、もう教わってない魔術はない?[r]そうか。残念だよ、母さん。 [k] [messageOff] [wt 0.1] [bgmStop BGM_EVENT_11 1.0] [cueSe SE_21 21_ad1106] [cueSe SE_21 21_ad1131] [seVolume 21_ad1131 0 0.4] [wt 0.6] [cueSeStop 21_ad1106] [wt 0.6] @ ベリルは“母”の眼を潰し、森を後にした。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 80501] [wt 1.0] [fadein black 1.0] [wait fade] @ その後は自由に生きた。[r]殺し専門の魔術師として人生を謳歌した。 [k] @ ただ、やりすぎて裏社会でも生きづらくなった。[r]次の居場所を探していた時、 [k] @ カルデアの所長である[r]マリスビリー・アニムスフィアにスカウトされ、 [k] @ 南極のカルデア基地を第三の[#故郷:ホーム]にした。[r]そこで、 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 10410] [wt 1.0] [fadein black 2.0] [wait fade] @ 目を疑うほどの、不細工な生き物を見た。 [k] [bgm BGM_EVENT_129 0.1] @ベリル おいおい、マジかよ。なんだありゃ。 [k] @ベリル カルデアは人理保障の人道的組織じゃないのか?[r][#ああいうの]もアリなのかよ、ドクター! [k] @ 不細工、というのは造形の話ではない。[r]生き方、在り方が不細工だった。 [k] @ 完成していなかった。未熟児のままだった。[r]まるでバロットのようだ、とベリルは笑った。 [k] @ その上で[line 3] [k] @ベリル 名前だ。[r]あの娘の名前はなんて言うんだ、ドクター。 [k] @ベリル あの娘は特別だ。[r]山ほど鑑定してきたオレが保証するよ。 [k] @ベリル 今はどんなに未熟でも[line 3][r]将来、他の誰よりも綺麗になる。 [k] @ “母”の教えの[#賜:たまもの]か、ベリル・ガットには[r]“花を育てる”才能と技術が[#具:そな]わっていた。 [k] @ 今は[#見窄:みすぼ]らしい姿でも、[r]10年後には美しい花になる。 [k] @ そう確信したベリルは、花の成長を見守る事にした。[r]退屈な毎日が、それなりに楽しくなった。 [k] [messageOff] [fadeout black 1.0] [wait fade] [scene 10000] [wt 0.5] [fadein black 0.5] [wait fade] @ベリル とはいえだ。[r]実のところ、オレは芸術オンチでね。 [k] @ベリル 新しい国に行けば、必ず美術館に足を運んだ。 [k] @ベリル 誰からも評判のいい風景やら絵画やらを見てきたが、[r]特に感銘は受けなかった。 [k] @ベリル もちろん、よく出来ているのは分かった。[r]だがそれだけだ。 [k] @ベリル オレは[#美しいものが分からない]。[r]ずっと自分を、そういう生き物だと思っていた。 [k] @ベリル だが[line 3] [k] [messageOff] [wt 0.1] [se ad798] [wt 0.1] [seStop ad798 0.1] [wt 1.2] @ベリル [line 3]恋に落ちたんだ、マシュ。[r]オレはやっと、自分ってものと向き合えた。 [k] [messageOff] [wt 1.2] @ベリル 楽しいから、憎いから傷つけるんじゃない。 [k] @ベリル 大切だから傷をつける。[r]愛しているから、愛するために傷をつける。 [k] @ベリル オレはそういう人間なんだ。 [k] @ベリル 美しいものが損なわれた時だけ、[r]それが“美しいもの”だと実感できる。 [k] @ベリル おまえはオレが守ってやる。 [k] @ベリル 誰からも。何からも。ドクターにも、[r]マリスビリーの好きにもさせない。 [k] @ベリル 大令呪なんざ、おまえには刻ませない。[r]それをオレが始末屋になる条件にした。 [k] @ベリル ……いいか、覚えておいてくれ。 [k] @ベリル おまえがいるかぎり、オレは死なない。[r]おまえがいる世界なら、オレは楽しい。 [k] @ベリル 信じられないだろう?[r]オレだってそうさ。まったく信じられない。 [k] @ベリル この世の何よりも、[r]おまえが大切でたまらない、なんてな。 [k] @ベリル だから[line 3] [k] [messageOff] [bgmStop BGM_EVENT_129 1.5] [wt 1.0] @ベリル ……だから。いいよな、マシュ?[r]おまえの苦しむ姿が、どうしても見たいんだ。 [k] [messageOff] [wt 0.1] [se ad8] [wt 2.0] @医者 ベリル・ガット[line 3]! [k] [messageOff] [wt 0.1] [se ade427] [se ade422] [se ade421] [se ad1023] [wt 1.2] [seStop ade427 0.3] [seStop ade422 0.3] [seStop ade421 0.3] [seStop ad1023 0.3] [wt 0.5] [cueSe Servants_603600 bac867] [wt 1.2] [se ad144] [seVolume ad144 0 0.5] [wt 1.4] @ ベリル・ガットは一時拘束され、[r]その施設に立ち入る手段を取り上げられた。 [k] @ Aチームが初回レイシフト実験を行う運命の日から、[r]1年前の話である。 [k] [messageOff] [wt 1.0] [fadeout black 1.5] [wait fade] [scene 119800] [wt 1.5] [se ad161] [fadein black 2.5] [wait fade] [charaTalk off] [charaDepth A 2] [charaDepth B 3] [charaDepth C 4] [charaDepth D 5] [charaFace A 0] [charaFadein A 0.2 1] [wt 0.8] [cueSe SE_21 21_ad1083] [seVolume 21_ad1083 0 0.3] [cueSe SE_21 21_ad1112] [seVolume 21_ad1112 0 0.5] [se ad177] [charaFadein B 0.7 1] [wt 0.3] [seStop ad177 0.4] [wt 0.6] [charaFadeout A 0.1] [wt 0.1] [seStop 21_ad1083 2.0] [wt 0.4] [charaFace D 0] [charaFadein D 1.0 1] [wt 0.3] [charaFadeout B 1.0] [wt 1.0] [charaFace C 0] [charaFadein C 1.0 1] [wt 1.5] [seStop 21_ad1112 2.0] [charaFadeout D 2.0] [wt 2.5] [bgm BGM_MAP_10 0.1] [charaTalk on] @ベリル [line 3]あれ。[r]おかしいな。 [k] @ベリル ……なんでオレが殴られてるんだ、ドクター。[r]オレからまた、取り上げようっていうのか。 [k] @ベリル 待ってくれ。そりゃあない。[r]まだ、実感できて、ないんだ。 [k] @ベリル おまえがいるっていうから、生き返るなんて、[r]クソ面倒な話にのったんだ。 [k] @ベリル オレは、おまえに会うために[line 3][r]会う、ために[line 3] [k] [messageOff] [wt 0.1] [charaShake C 0.05 1 1 0.9] [charaMoveScale C 1.05 1.0] [charaMove C 0,10 1.0] [wt 0.6] [se ad60] [wt 0.4] [seStop ad60 0.1] [wt 1.0] ?1:……それ以上、近寄るなら…… ?2:…………。 ?! @マシュ ……いえ。どうかそのままで、マスター。[r]彼には、もう何もできません。 [k] [messageOff] [charaTalk off] [charaShake C 0.05 1 1 0.9] [charaMoveScale C 1.1 1.0] [charaMove C 0,20 1.0] [wt 0.6] [se ad60] [wt 0.4] [seStop ad60 0.1] [fadeout black 0.8] [wait fade] [wt 1.2] [overlayFadein Q 0.1 0,-680] [overlayFadein R 0.1 0,680] [fadein black 1.5] [wait fade] [charaTalk on] @ベリル ……そうだ……[r]……眼がいいな。眼が、とても綺麗だ。 [k] @ベリル ……大切にしないとな……[r]……ふたつしかないんだ……大切、に…… [k] @ベリル ……逃げなくていい。[r]……おまえは、オレが守って、やる…… [k] [messageOff] [wt 0.1] [bgmStop BGM_MAP_10 1.5] [charaShake C 0.05 1 1 0.9] [charaMoveScale C 1.15 1.0] [charaMove C 0,25 1.0] [wt 0.6] [se ad60] [wt 0.4] [seStop ad60 0.1] [wt 1.5] [charaMove C 0,-10 0.3] [charaMove Q 0,-850 1.0] [charaMove R 0,850 1.0] [wt 0.2] [cueSe SE_21 21_ad1129] [charaShake C 0.03 1 2 0.4] [wt 1.5] @ベリル [line 3]愛している。 [k] @ベリル [line 3]愛しているんだ、マシュ。 [k] @ベリル [line 3]心の底から。[r]おまえを愛しているんだ、マシュ。 [k] [charaFadeout C 0.1] [wt 0.1] [charaScale E 1.2] [charaTalk E] [charaFace E 4] [charaFadein E 0.1 0,20] @マシュ ……そうですね。[r]それは本当の事でしょう。でも。 [k] @マシュ あなたの愛は、わたしには分かりません。 [k] @マシュ ……たぶん。誰にも分からないんです、[r]ベリル・ガット。 [k] [charaFadeout E 0.1] [wt 0.1] [charaTalk C] [charaFace C 1] [charaFadein C 0.1 0,-50] @ベリル [line 6]。 [k] [messageOff] [wt 0.6] [charaFaceFade C 2 0.6] [wt 2.0] [charaMove C 0,-90 0.7] [charaFadeout C 0.7] [wt 0.8] [cueSe SE_21 21_ad1074] [wt 2.5] [fadeout black 2.0] [wait fade] [wt 0.5] [soundStopAll] [end]