fgo-game-data/ScriptActionEncrypt/03/0300091060.txt
2021-07-14 11:33:00 +00:00

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11 KiB
Plaintext
Raw Blame History

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03-00-09-10-6-0
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[charaSet A 1098210000 1 スプリガン]
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江戸時代、末期。
[k]
来たるべき時代に向けて、[r]薩摩藩は才能ある若者たちを、
[k]
海を隔てた遠い異国に送り出した。
[k]
最終的な目的地はロンドン。[r]世界の最先端であり模範である、大英帝国の首都である。
[k]
男は留学生には選ばれなかった。
[k]
歴史に名を残すほどの位も、資産もなかった、[r]貧しい武士の家の生まれだった。
[k]
男は留学生には選ばれなかったが、[r]彼らを運ぶ船の船員として紛れ込む事はできた。
[k]
国を出た理由は、もう覚えていない。
[k]
時代の変わり目に立ち会いたくなかったのか。[r]あの国の文化に嫌気がさしたのか。
[k]
それとも単純に、外国の文化に触れたかったのか。[r]覚えていない。
[k]
ただ、男は国よりも家族よりも同志よりも、[r]つまりは人間よりも、『芸術』を愛していた。
[k]
かろうじて『記憶』として残っているものは、[r]港に着いた時の“予感”だけだ。
[k]
男は目の前に広がる世界に目を輝かせた。
[k]
何もかも停滞していた故郷に比べると、[r]それこそ同じ惑星の風景とは思えなかった。
[k]
男は船員の仕事から抜け出し、[r]地図を頼りに異国の街を冒険した。
[k]
夢のような時間だった。[r]もっと長く滞在したいと願った。
[k]
とはいえ、男は計算高く、現実を知っていた。[r]夢は覚めるもの。予定は守るもの。
[k]
日の出までに港に戻れば多少の刑罰は[r]受けるものの、故郷への帰路につける。
[k]
彼は時間を計り、まだ充分に時間はある事を[r]確認して、三つめの貴族の館に忍び込んだ。
[k]
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その館にある美術品は素晴らしいものだった。
[k]
とくに絵画の奇怪さ、[r]おぞましさは息を[#呑:の]むほどだった。
[k]
男は後ろ髪を引かれながら館から抜け出し、[r]定刻通り、留学船の泊まっている港に戻って、
[k]
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[scene 117100]
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[wait fade]
自分が、さらに見知らぬ土地に迷い込んだ事を、[r]一日かけて理解した。
[k]
@男
帰してくれ、帰してくれ、帰してくれ……![r]誰か、誰でもいい、私を日本に帰してくれ……!
[k]
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[wait fade]
その後の男の人生は、まさに冒険だった。
[k]
妖精に捕まり、奴隷となり、辛酸をなめた。[r]30年の寿命がきたので捨てられ、自由になった。
[k]
妖精國の人間ではない男には、[r]まだ充分な寿命があった。
[k]
55歳の肉体にとって妖精國の環境は過酷にすぎたが、[r]男には30年、妖精たちを観察してきた知恵があった。
[k]
正体を隠す。妖精を[#雇:やと]う。会社を[#興:おこ]す。[r]妖精に妖精を殺させ、解剖させ、研究させる。
[k]
老化を抑制する不老薬を作る。[r]効果は微々たるものだが無いよりはマシだった。
[k]
さらに40年かけて、外見は若い妖精、[r]中身は90代の老人ができあがった。
[k]
[#欺:あざむ]くのは『土の氏族』にしぼった。
[k]
彼らは偏屈だが技術を重んじ、[r]人柄より、品物の善し悪しで他人を信用した。
[k]
つまるところ、商売が下手だった。
[k]
男は『土の氏族』の長である妖精の秘書になった。[r]長とは、わずかだけ気が合った。
[k]
友情らしきものも、あるにはあった。[r]『土の氏族』の長は男を重宝し、ともに会社を興した。
[k]
スプリガン&キャップレス。[r]妖精國で初の総合デパートの誕生である。
[k]
[bgmStop BGM_MAP_10 2.0]
その後、男は『土の氏族』の長を謀殺した。
[k]
更なるノリッジの発展、更なる目的のため、[r]その『名前』が必要だったからだ。
[k]
男の元の名を知る者は妖精國のどこにもいない。[r]汎人類史にも、残されてはいないだろう。
[k]
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[wt 0.3]
[bgm BGM_EVENT_81 0.1]
[charaTalk A]
[charaFace A 4]
[charaFadein A 0.1 1]
@スプリガン
まったく、おちおち眠ってもいられない。[r]昨日から嵐のような発注ですよ。
[k]
@スプリガン
キャメロット、ロンディニウム、エディンバラ。[r]鉄の武器が飛ぶように売れていく。
[k]
@スプリガン
潰走したウッドワス軍。[r]グロスターの巡礼の鐘。
[k]
@スプリガン
主要都市の妖精たちだけでなく、[r]点在する[#森:むら]でも反モルガンの声が高まっている。
[k]
@スプリガン
いやいや……2000年の統治の結果がこれとは、[r]陛下の心中、察するにあまりある。
[k]
[charaFace A 0]
@スプリガン
モルガン陛下は偉大な統治者ですが、[r]俗物たちに、その偉業は理解されない。
[k]
@スプリガン
陛下がどれほど大きな対策をとってきたか、[r]全容を測れる者はあまりにも少なかった。
[k]
@スプリガン
街で暮らす者には自分たちの家しか見えず、[r]そも、大地あっての街である[#前提:こ と]が見えないように。
[k]
[charaFadeout A 0.1]
[wt 0.1]
意外だな。その口ぶりだと、[r]モルガンの統治を望んでいるように聞こえるが。
[k]
[wt 0.1]
[charaTalk A]
[charaFace A 1]
[charaFadein A 0.1 1]
@スプリガン
いえいえ、あくまで事実を論じたまで。
[k]
@スプリガン
世論としても、私個人の所感としても、[r]陛下はお休みになるべきです。
[k]
@スプリガン
女王が悪い、というのではありません。[r]在位が長すぎた、という話です。
[k]
@スプリガン
陛下はよい國を作られたが、価値観が古い。[r]なにしろ2000年前のお方だ。
[k]
@スプリガン
妖精たちはもう何代も代を重ね、[r]価値観を更新しております。
[k]
@スプリガン
自然と共にあり、人類を管理し続ける……という[r]政策では、この島はいつまでも小さいままでしょう。
[k]
@スプリガン
老害のそしりほど恐ろしいものはない。[r]古い部品は取り替えなくてはね。
[k]
@スプリガン
もちろん、私が王になる、という考えはありません。
[k]
@スプリガン
[#かつて私がいた汎人類史]においても、[r]イギリスは女王が治める土地でした。
[k]
@スプリガン
妖精國の玉座には女王こそ相応しい。[r]それは貴方も同じ見解なのでは?
[k]
[charaFadeout A 0.1]
[wt 0.1]
[line 3]では、おまえが望む次の女王は?
[k]
[wt 0.1]
[charaTalk A]
[charaFace A 0]
[charaFadein A 0.1 1]
@スプリガン
王が代わるのなら、[r]次はぜひ国民を愛する[#朗:ほが]らかな妖精か[line 3]
[k]
@スプリガン
誰よりも美しく、そして、その美しさ以上に邪悪で、[r]自らの愚かさに無自覚な妖精が好ましい。
[k]
@スプリガン
サポートのしがいがあるというもの。[r]知性の高い王に仕えるのは、もうこりごりです。
[k]
[charaFadeout A 0.1]
[wt 0.1]
それであの女か。[r]確かに、おまえとはうまくはまりそうだ。
[k]
だが、その[#目]は薄い。[r]あの女にモルガンは倒せない。ましてや玉座なぞ。
[k]
[wt 0.1]
[charaTalk A]
[charaFace A 0]
[charaFadein A 0.1 1]
@スプリガン
でしょうね。モルガン陛下を倒せる者は、[r]私の知るかぎりひとりだけ。
[k]
@スプリガン
それもさきほど、戦場を監視していた[r]兵士たちが発見しました。
[k]
[charaFace A 1]
@スプリガン
後はいつ投入するか、ですな。[r]いやいや、ここがイギリスで良かった。
[k]
@スプリガン
皆さま、“取った駒は使ってよい”、という[r]ルールに馴染みがない。
[k]
@スプリガン
切り札は生まれつきあるものではなく、[r]戦いながら手に入れるもの。
[k]
@スプリガン
まあ[line 3]ここ100年、[r]指す相手のいなかった[#将棋:ゲーム]の話ですがね。
[k]
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[wt 1.0]
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[bgmStop BGM_EVENT_81 1.0]
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@バーヴァン・シー
見逃された、見逃された……![r]女王の娘が、情けをかけられた……!
[k]
@バーヴァン・シー
ベリルも手伝ってくれたのに……![r]私、今度は本気だったのに……!
[k]
@バーヴァン・シー
なのに、なのに[line 3]
[k]
@バーヴァン・シー
どうして、どうして勝てないの!?[r]私は、私だけがお母様の娘なのにぃぃいいい!!!!
[k]
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[wt 0.7]
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[wt 1.2]
@バーヴァン・シー
……はぁ……はぁ……はぁ……
[k]
@バーヴァン・シー
…………娘は私だけでいい……[r]…………魔術師は私だけでいい……
[k]
[bgmStop BGM_EVENT_70 1.5]
@バーヴァン・シー
……私だけ……私だけの魔術があれば……[r]……女王の娘にふさわしい、とっておきの[line 3]
[k]
@バーヴァン・シー
[line 3]あ。
[k]
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[wt 1.2]
@バーヴァン・シー
なあんだ。[r]やっぱり私の勝ち。
[k]
@バーヴァン・シー
お母様の玉座から、『庭』を持ち出せばいいんじゃない。
[k]
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